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ショートステイ関連業務を刷新- 職員インタビュー!

みなさん、こんにちは!
秋が深まり、朝晩は寒さも感じられる季節になりました。

2024年7月の上旬に『翁寿園』の生活相談員・江本洋平さんと『第2やすらぎ事業所』のケアマネージャー・山形修さんがライターの直塚大成さんのインタビューを受けました。

直塚さんは九州大学の大学院に在籍しながら、有名ライターであり出版社の社長でもある田中泰延さんと共著で『「書く力」の教室』(SBクリエイティブ)という本を出版された、新進気鋭のライターさんです。

今回は取材のために淡路島まで足を運んでくださいました。
それでは、取材記事を以下に掲載いたします。

——————

社会福祉法人 淡路島福祉会へ取材に行ってきました。

博多駅から新神戸駅まで新幹線で3時間。そこから車で2時間。

明石海峡大橋を通って、はじめての淡路島にやってきました。

はじめまして。直塚大成と申します。

このたび、ご縁がありまして、社会福祉法人 淡路島福祉会の翁寿園と第2やすらぎ事業所に勤務するお二人にインタビューをさせていただくことになりました。

きっかけになったのは、淡路島福祉会が取り組んだ新たなチャレンジです。
淡路島福祉会では、2024年の4月から7月にかけて『翁寿園』『すいせんホーム』『さくら苑』『第2やすらぎ事業所』の4つの施設による共同で、ショートステイ(短期入所)用のベッド管理業務の刷新を実施したとお聞きしております。

「淡路島福祉会の外部の方にインタビューをしていただくことで、職員の新しい姿を示したい」という淡路島福祉会の意向により、この刷新と同時期に本を出版し、淡路島福祉会のことをなにも知らない僕に白羽の矢が立ちました。

今回は、新米の介護士になったつもりでお話を伺いました。

翁寿園の江本さんのお話を伺いました。

はじめにご案内いただいたのは、『特別養護老人ホームの翁寿園(おうじゅえん)』です。

生活相談員の江本洋平さんにお話を伺いました。
江本さんは、今回の業務刷新のきっかけになった方とお聞きしています。

――江本さんのお仕事について教えてください。

「わたしは、特別養護老人ホームの翁寿園で生活相談員という仕事をしています。
一般的に利用者さまのご相談を請け負う仕事ですが、それと同時に施設内のさまざまな困り事も引き受けています。他の業務に欠員が出ればヘルプに入ったり、ご利用者さまの送迎を行ったり、病院受診のサポートをする日があったり、備品の破損や故障を相談員が対処する日もあります」

電話をしている女性

中程度の精度で自動的に生成された説明

――今回の業務刷新のきっかけを教えてください。

「どの業界も同じだと思いますが、福祉業界も深刻な人手不足が続いています。
翁寿園の常勤の生活相談員は基本的に1名。電話がひっきりなしに鳴る日もあり、上司や同僚の支えでなんとか成り立っている状況でした。2024年からは災害の激甚化に伴う緊急時の対応や、虐待防止の対応などが義務付けられ、増え続ける業務に忙殺されていました。
すると、そんな状況を見かねた上司が副理事長にご相談してくださり、まず、電話業務を減らすことから始めることになりました。それが今回のプロジェクトのきっかけです」

机の上に立っている男性

低い精度で自動的に生成された説明

続いて、今回のプロジェクトの核であるショートステイの予約管理業務の刷新についてお聞きしました。
ショートステイとは、介護が必要な高齢者の方や障害者の方が福祉施設に短期間入所し、食事や入浴、排せつなどの介護や、そのほかに必要な日常生活の支援を受けられるサービスです。
主に利用者さまのご家族が留守のときに利用されるケースが多いとお聞きしました。

淡路島福祉会では『翁寿園』『すいせんホーム』『さくら苑』の3つの施設でショートステイの提供を行っています。
今回のプロジェクトは、このサービスの改善が主な取り組みでした。お話を伺っていきます。

――実際に、どのような業務刷新に取り組んだのですか?

「実際に会議で使っていた資料を持ってきました」

グラフ

自動的に生成された説明

「これは、以前まで翁寿園で使っていたショートステイの予約管理ツール(の一部。また、本記事掲載用に一部加工済み)です。
翁寿園の独自のツールで、他にショートステイを受け入れているすいせんホームやさくら苑が使用していたものとは異なります。すいせんホームやさくら苑にも、それぞれ独自の予約管理ツールがありました」

――えっ、それぞれの施設で使っている予約管理のツールが異なっていたのですか?

「そうです。これが、今回のプロジェクトで解決したい課題でした。ショートステイのベッド管理の業務は流動的です。利用者さまから空いているベッドの問い合わせが殺到する日もあれば、問い合わせが少なく、ベッドを利活用するための営業をこちらから行う日もあります。
もちろん、各事業所の職員は他の仕事も抱えていますから、できるだけ電話業務は減らしたい。
そこで、今回のプロジェクトでは、それぞれの施設の予約管理のツールを統一させて、さらに、ベッド予約の状況を、電話を介さずに淡路島福祉会のどの施設からでも確認できる仕組みを作ることにしました」

――そもそも、どうして施設ごとに予約管理ツールが異なっていたのでしょうか?

「そこは気になりますよね。理由としては、翁寿園、すいせんホーム、さくら苑が当初、独立した別の法人によって運営されていたからです。
現在は、それらが淡路島福祉会に統合されています。その名残でそれぞれの施設の業務やツールが異なる部分があり、そのうえ、統合されるまでの長い間、それぞれの事業所のオペレーションに合わせてツールに改良を施していたので、たった1つのツールを統一するだけでも高い壁がありました」

「しかし、業務やツールが統一されていない場合、淡路島福祉会という同じ法人内の施設間であるにもかかわらず、情報連携に時間を取られることが続きます。
たとえば、利用者さまからショートステイの問い合わせが届くと、他の事業所に空いているベッドの有無を確認してもらい、折り返しの電話をもらって、それでやっと利用者さまにご報告できる状況が続いていました。これでは利用者さまをお待たせすることになりますし、職員の負担も増える一方です。
どうにか一件でも電話を減らすことを目標に、業務刷新に取り組みました」

ワインを飲んでいる男性

中程度の精度で自動的に生成された説明
机の上のノートパソコンを見ている少年

低い精度で自動的に生成された説明

――実際に行ってみると、業務はどのように変わりましたか?

「今のところ、まだ導入段階ですので今後の経過次第ではありますが、法人内で統一したツールを活用する形になったため、事業所によって手順が異なることは無くなりました。翁寿園に関しては、予定表や居室割など、複数の書式で管理していたものが一元化されました。
また、空いているベッドの情報がいち早く他の事業所と共有できるようになったので、職員だけでなく、泊まり先を確保したい利用者さまにも有益なものになったと感じています」

「わたしはこの翁寿園で18年ほど働いておりますが、法人内の事業所間でツールを統一し、データを共有する形での情報連携を行うという取り組みは初の試みでした。
翁寿園でのICT化は少しずつ進んでいましたが、他の事業所との業務統一はなかなか難しいと思っていたので、こうして法人の後押しでプロジェクトを進めていただいたことに感謝しています」

第2やすらぎ事業所の山形さんにお話を伺いました。

続いてやって来たのは、翁寿園から少し離れた場所にある、『第2やすらぎ事業所』です。

白い壁の前に立っている少年

中程度の精度で自動的に生成された説明

主任ケアマネージャーの山形修さんにお話を伺いました。

山形さんは普段、この施設から利用者さまのご自宅などに向かい、利用者さまやご家族さまの相談に対応するといった業務をしています。他の事業所や利用者の主治医と連携を取ったり、ショートステイの予約を代行することもあります。
山形さんは主任でもあるため、同じケアマネージャーの指導や育成なども含めた管理業務も行います。江本さんと同じく、大変なお仕事だと感じました。

――業務改善のお話を聞いたとき、どう感じましたか?

「とてもいいお話だと思いました。地域にもよるのですが、ショートステイのベッドは基本的に埋まっている場合が多いです。そのため、これまでは利用者さまから緊急で利用したいという問い合わせがあると、他の事業所に片っ端から電話をして、ベッドを確保する必要がありました。
とはいえ、好意的な気持ちばかりではなく、不安があったことも事実です。むしろ仕事が増えるのではないか、という想いも頭をよぎりました」

口を開ける少年

中程度の精度で自動的に生成された説明

――むしろ、仕事が増える?

「はい。すこし言葉を選ぶのですが、近頃は、本当にしなければいけないのかと思う事務作業が増えているように感じています。
たとえば、3年に1回ある法律の改正ごとに、しないといけないのかなと思う改正事項があります。法律なので仕方がないですし、意味のあることだと思っていますが、現場をないがしろにされているように感じる時もありました。
そうしたこともあって、新しい変化への警戒心が強かったのかもしれません」

――実際に業務刷新に関わったことで、印象の変化はありましたか?

「はじめは刷新のイメージがつかず不安でしたが、話し合いを進めていくうちに理解も深まりました。それに、毎週の会議が職員の意見交換の場にもなったので、相談員さんをはじめとする他の事業所との関係は強くなったと感じています。
これまで相談員の方々とは事務的な調整以外にお話する機会がなかったので、他の事業所の課題や、詳しい業務内容を聞けたことは非常に新鮮でした」

――システム導入後、第2やすらぎ事業所の業務は改善されましたか?

「翁寿園と同じく導入したばかりなので、しばらく様子を見ていく必要があると思います。とはいえ、これまで電話で確認していた予約の状況が、一目で分かるようになったのはありがたいです。
また、パソコン上の表示が見えにくいなどの身体的な課題を抱える職員のために、この新しいツールを作成してくださったエンジニアさんが細やかな調整をしてくださりました。
今後はどのように浸透させるか、というのがうちの事業所の課題です。システムに関しても、タイムリーに予約の表示ができるのか、予期せぬトラブルに対応できるかどうかなど、今後の試行錯誤を楽しみにしています」

屋内, 人, 男, テーブル が含まれている画像

自動的に生成された説明

――業務の刷新により捻出された時間を、どのようなことに充てたいですか?

「わたしたちは利用者さまと信頼関係を作ることが仕事です。
そのため、削減した時間は、利用者さまのご自宅へ伺う時間に充てることができれば良いですね。新人のケアマネージャーが利用者さまの状況を把握するためには、まず利用者さまのご自宅へ訪問する回数を増やして、経験を積むことが大事です。空いている時間が増えれば、先輩が現場に同行して助言をする機会も増やせます。
一緒に行き、一緒に見て、一緒に考える。そんな貴重な時間を増やすためにも、効率化できる業務はどんどん効率化していけるといいですね」

これからも、もっと、働きやすい場所にしたい。

最後に、お二人に今後の展望をお聞きしました。

――江本さんは今回の業務改善を振り返って、どう感じていますか?

「わたしの悩みに多くの職員が協力してくれたことに感謝しています。
日々の業務を支えてくれる同僚や、相談に乗ってくださった上司、副理事長のおかげでプロジェクトを遂行することができました。今後も効率化できる業務は効率化させ、それにより捻出した時間を使って、利用者さまに良いサービスを提供したいと思っています。近年では、特別養護老人ホームを終の棲家(ついのすみか)に選ぶ方々が増えています。
翁寿園を選んで良かった、そう言っていただける組織を目指したいです」

――ここまで話を伺ってもなお、たった1人の職員の相談が法人を巻き込む刷新に至ったことが驚きです。こうして、スムーズにお話が進んだ背景には、淡路島福祉会に業務刷新を受け入れる風潮が生まれつつあるということでしょうか?

「そうですね。ここ数年は特にその風潮を感じます。おそらく、新型コロナウイルス(COVID–19)による影響が大きいのではないでしょうか。当時は先が見えず大変でしたが、それまでの業務を見直すきっかけにもなりました。
現在では業務にオンラインツールが導入され、ペーパーレス化も進んでいます。この流れはできるだけ止めずにいたい。その思いは、上司や理事のみなさんも同じだったのだと思います」

――山形さんは今回の業務改善を振り返って、どのように感じましたか?

「貴重な経験でした。他の事業所の職員をはじめ、多くの方とコミュニケーションをとる機会になったことが良かったです。エンジニアさんと予約ツールを改善していく会議を重ねることで、自分たちの業務を振り返る機会にもなりました。
こうして九州から直塚さんがインタビューに来てくださったり、わたしたちを撮影してくださる方々がいらっしゃったり、普段は話せない人たちとお話ができたことも良かったです」

「福祉の仕事に就く人の中には、困っている人を助けたいという思いが強い人がたくさんいます。第2やすらぎ事業所の職員もとても真面目で、一生懸命に仕事に取り組む人ばかり。だからこそ、特に新人のケアマネージャーは、自分のことを後回しにして疲弊してしまう人もいるだろうと思っています。
自分たちができること、できないこと、やりすぎていること、もっと力を入れるべきところ、楽にできる業務を考え、利用者さまにも、職員にも最適な環境を今後も作っていけることを望んでいます」

取材はあっという間に終わりました。お二人に感謝の言葉を伝えると、笑顔になってくれました。このたびはインタビューに協力してくださり、本当にありがとうございました。

おわりに

取材が終わると、淡路島福祉会の「すいせんホーム」と「さくら苑」にもご案内いただきました。
こちらも翁寿園や第2やすらぎ事業所と同じく、今回の業務刷新に取り組んだ施設です。

すいせんホームの若林さんには館内を隅々までご案内いただき、大浴場で介護浴槽の仕組みをご説明いただきました。
さくら苑の竹内さんからは、館内の丁寧なご説明に加え、春になると桜が見える景色を教えていただきました。
竹内さんは今回のツールを見ながら勉強しているそうで、訪問に同行していたエンジニアさんもとても喜んでいました。

淡路島福祉会の広報誌『まごころ』をいただき、帰りの新幹線で読みました。

広報誌『まごころ』は2010年に創刊され、今年でなんと14年目。
創刊10周年にあたる3年前の『まごころ』第25号に、気になるお話を見つけました。

この25号から表紙をガラッとリニューアルさせたそうです。
それまで使っていた季節の花や風景の写真から、職員さんのお写真に変更。広報誌の制作担当者がそれぞれの施設で撮った写真を持ち寄って、表紙に使う写真を選んだというお話が掲載されています。

今号から表紙をリニューアルしました。
過去の表紙では季節の花や風景の写真を使用していたのですが、この度はじめて職員の写真を表紙に採用しました。
制作担当者が各施設で撮影した写真を持ち寄り、選考したのがこの写真です。
手前味噌ですが、なかなかいい表紙になっていると思いませんか?

12年どころか、この2、3年で世の中は大きく変わりました。
そういった変化に合わせて何事も少しずつ変わっていくのだと思います。
今号の表紙リニューアルも、もしかしたらそんな時代の変化のひとつなのかもしれません。
(引用:淡路島福祉会広報誌『まごころ』第25号)

時代の変化。少しずつ。変わっていく。
江本さんの言葉の中にもありました。

写真に映るみなさんの笑顔をみると、
カメラを構えている人の笑顔まで浮かんでくるようです。

利用者さまのため、職員のために変わっていく

そんな淡路島福祉会を、これからも応援しております。

山に囲まれた家

自動的に生成された説明

縁もゆかりもない場所に、新しい縁が生まれました。
このたびは素晴らしい出会いを、本当にありがとうございました!
僕の取材記事は、これで終わりです。

今回の取材は動画にもなっておりますので、ぜひそちらもご覧ください!

——————

直塚さん、こちらこそ、ありがとうございました!
取材してもらったインタビュー動画はYouTubeからも見ることができます。

それでは、これからも社会福祉法人淡路島福祉会をよろしくお願いします。

インタビュアー・記事執筆:直塚大成
動画作成:Picturize lab
協力:飯田あゆみ
提供:株式会社Egene